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「第 3 期スポーツ基本計画」パブリック・コメントに向けた理事会提案 

令和 4 年 1 月 4 日 

日本コーチング学会 

 

スポーツ庁・スポーツ審議会では、このたび「第 3 期スポーツ基本計画(以下、基本計画)」の「第3期中間報告」が取りまとめられ、約 1 ヶ月間にわたる意見募集(パ ブリック・コメント)が開始されました。基本計画は、今後 5 年間にわたる体育・スポーツ政策の基本方針と具体的な施策を示したものであり、今後の体育・スポーツの推進にとって重要な指針となります。 

日本コーチング学会(以下、本学会)は、体育・スポーツの指導実践に関する科学的研究を推進し、コーチング学ならびにスポーツ指導実践の発展に寄与することを目的としています。この目的を踏まえれば、基本計画に対して積極的に具申していくことも使命のひとつであるといえます。過去にも、このパブリック・コメントによって、体育・スポーツ(科学)に関連する重要事項が追記された実績もあります。 

一方、中間報告を概観すると、今後のスポーツ政策に関わる総花的な計画が 70 ページを超える大部に盛り込まれており、全ての点について網羅的に意見することは、かえって課題を見えにくくすることも懸念されます。 

そこで、社会への情報発信特別委員会では、中間報告における「今後の施策目標」や 「具体的施策」に対して、コーチングに関する研究ならびに実践の発展に直接的に関連すると考えられる記述(第3期中間報告(抜粋))に焦点化しながら、現状で指摘しうる問題点や課題等を抽出し、さらに理事会での審議を踏まえて整理いたしました。 

会員の皆様におかれましては、添付資料と併せてご参照いただきつつ、積極的に忌憚のないご意見をお送りいただければ幸甚です。なお、本提案につきましては、皆様のコメントの内容を下記に限定する、または方向付けるといった意図はなく、あくまでも参考資料として提示するものであることを申し添えます。 

<G-GOVパブリック・コメント:募集サイト> 

応募締切:令和 4(2022)年 1 月 19 日(水)23:59 

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185001201&Mode=0

 

<意見概要> 

  • 本基本計画は、国民がスポーツを通じて幸福で豊かな人生を得るための指針であり、その価値を最大化するためのスポーツ定義は、身体の鍛錬や競争性の要素から、誰もがスポーツの楽しさを求める遊戯の要素までを包含するものであることから、スポーツを「教養・素養」としてとらえる視点をより強調することが求められる。 
  • 頻出する「東京大会のレガシー(遺産)」の内容について明確にするとともに、それらを継承し発展させていくための展望についても具体的に言及すべきである。
  • 総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団および学校(運動部活動)の「連携」を現場レベルに任せるのではなく、国や地方自治体で責任を持って位置付ける必要がある。 
  • 部活動の段階的な地域移行を踏まえて、指導にあたる指導者(コーチ)は公的な資格や研修を修了したものに限るなど、教育的配慮や社会的信用の面で問題が生じないような体制を整備する必要がある。 
  • 体罰、暴力およびハラスメントの根絶に向けて、ガバナンスコードの普及や相談窓口の設置拡大、さらには指導者資格の義務化が目指されているが、法制化への働きかけを含めてどのように整備していくのかについても記述すべきである。 
  • 指導者の養成(資格取得の義務化)や質の保証(資格取得後のフォローアップ研修など)だけでなく、「指導者をどのように確保するか」、「指導者(の人権)をどのように守るか」といった視点も盛り込む必要がある。 
  • 長期的な視点での競技者育成・強化の「パスウェイ」の重要性が指摘されているが、ライフステージ(発育発達段階)や競技レベル別の指導者の必要性や、指導者の「パスウェイ(養成・育成段階)」の重要性についても言及すべきである。 
  • JSPO、JSCおよび大学等のみならず、体育・スポーツを研究する学術団体との「連携」について記載することにより、学術団体が国からの調査・研究を受託することが可能になるような体制づくりなど、積極的な連携によるEBPM(Evidence-based  Policy making/エビデンスに基づく政策立案)の実現を目指すべきである。 
  • 部活動の段階的な地域移行に向けて計画されている実践研究や効果検証をはじめ、今後の実施が想定される地方自治体や民間スポーツ組織の競技者育成や指導者育成等に関する計画の立案・評価などにおいては、学術団体との積極的な「連携」によって計画の進捗をモニタリングする仕組みを構築すべきである。