スポーツ基本法・前文にある「スポーツは、世界共通の人類の文化である」という一節のように、
人々が当たり前にスポーツを文化と思えることがスポーツの地位向上につながり、
スポーツは真の発展を遂げていくことになります。
日本コーチング学会は、コーチング学の研究者とコーチの活発な活動を通して、多様で有用な知見や情報を
発信していくことで、わが国のスポーツの発展に貢献することをめざしています。
1 新たなステージの創出
2020年東京オリンピック・パラリンピック終了から2年近くの時間が過ぎています。
予想通りわが国のスポーツ界には大きな波が押し寄せています。
長きに渡り掲げられてきた国際競技力の向上という普遍の目標に加え、学校の運動部活動の大幅見直し、
スポーツへのDXの導入、スポーツのビジネス化、SDGsへの取り組み等が重視されるようになりました。
スポーツの価値が多様化に向かっている時期であり、本学会としても未来に向かって
新たなスポーツの魅力や価値を見出しながら発展的なステージを創出していきます。
2 研究と現場の架け橋
古くて新しい問題である「研究と現場のコーチングの乖離」は、未だ根本的な解決をみたとは言えません。
その背景にあるものは、数々の研究から得られた知見が体系化できていないこと、競技現場へのフィードバック体制が貧弱であること、
研究から得られた知見をコーチング現場が軽視する傾向にあることなどがあります。
研究をする側とコーチングを実践する側が互いの理解を深めて、信用できる有用な情報を共有していくことは大切です。
全国各地の研究者とコーチが多く所属する本学会は、その架け橋的な役割を担っていきます
3 活躍の場を拡げる
今後、コーチの活動の場、そしてコーチに求められることは、さらに拡がっていくものと考えられます。
その一つとして、幼少年期から中高齢者までの各ライフステージに応じて楽しみややりがいを追求するコーチングが求められることが予想されます。
そこで、対象や目的に応じて安全で効果的なコーチングができる人材の養成に寄与していきます。
4 学会の充実をめざして
スポーツを愛する多くの方々にご賛同いただき、日本コーチング学会の活動に加わっていただくことを
心より祈念いたします。
2023年5月吉日
日本コーチング学会会長
尾縣 貢